2022年7月1日、ツール・ド・フランス2022が開幕します。コルナゴにとっては、UEAチーム・エミレーツに所属するタデイ・ポガチャル選手の3連覇がかかる待望のレースです。
第109回となる今回は、大会史上初めて北欧のデンマークで開幕。総距離3,328km、全日程は24日間におよぶレースとなります。
第1ステージは13kmの個人TTからスタート。4日目にはフランスへ移動し第5ステージではパリ~ルーべでお馴染みの石畳区間を走ります。テクニカルなコースが続き、序盤からデットヒートが予想される展開ですが、中盤には4年ぶりに復活した伝説の山岳コース ラルプ・デュエズも!1986年のブリアンソン~ラルプデュエズ間のコースと同じ難関ルートを辿ります。日本国内でもNHKで特集番組が組まれロードレースの認知度が高まった頃で、友人であり、ライバルでもあったベルナール・イノー選手とグレッグ・レモン選手が手を取り合ってゴールしたのを覚えている方も多いのではないでしょうか。
最終週前半は山岳ステージが続き、マイヨジョーヌを決定づける激戦へと突入します。第16ステージのピレネーでの山岳勝負は後半の最大の見どころです。
一筋縄ではいかない2022年のツールですが、3連覇を目指すタデイ・ポガチャル選手のコンディションも良好です。ツールの前哨戦として出場したツアー・オブ・スロベニアでは、登坂シーンでライバルを引き剥がして飛び出し、最終スプリントで急加速。区間2勝に加え、個人総合優勝2連覇を達成しました。
今シーズン開幕戦となったUAE・ツアーでの総合連覇、ストラーデ・ビアンケ、ティレーノ~アドリアティコも圧巻の走りで優勝を獲得しており、ツール3連覇も現実味を帯びてきました。歴史に残る伝説の選手へと着実に近づいています。
2020年、2021年を振り返るとその頃から、タデイ・ポガチャル選手の伝説はスタートしていたと感じます。
2020年はコルナゴとしても悲願の個人総合優勝を獲得した年でした。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響により2ヶ月遅れで開催されたレースでしたが、21歳のエース タデイ・ポガチャル選手がV3-RSを駆り、個人総合優勝を果たしました。それも第20ステージで山岳賞、ヤングライダー賞も獲得しており、マイヨジョーヌに加えて3枚の特別賞ジャージを手にしての勝利でした。
2019年にUAEチーム・エミレーツに加入したポガチャル選手は、ブエルタ・ア・エスパーニャ総合3位、UAE・ツアー総合2位、クリテリウム・デュ・ドーフィネ総合4位と成績を残し、ステージレースでも優勝を積み重ねました。初出場となったツール・ド・フランス2020では、フランス丘陵地の横風に苦戦するも、チームの献身的なサポートもありライバルであるブリモシュ・ログリッチ選手(チーム・ユンボ・ヴィスマ)とのタイム差を57秒まで縮めて最終決戦となる個人TTを迎えました。その個人TTでログリッチ選手に逆転勝利し、結果的に2分近い差をつけての個人総合優勝となりました。
チームのサポートにより辛くも勝利を勝ち取った2020年の翌年、ツール・ド・フランス2021ではタデイ・ポガチャル選手はエースとしてチームを牽引するまでに成長しました。2021年6月26日に開幕したレースは序盤から波乱の展開で、大規模な落車の連続で多くのライバルが脱落しました。その中で冷静にレースを進め、第5ステージのTTでは圧勝しライバルとのタイム差を大きく広げました。第8ステージでは一級山岳ロム峠でアタックし、メイン集団から抜け出し早くもマイヨジョーヌを獲得。その後、第11ステージのモンヴァントゥなど見応えのあるステージが続く中で、タデイ・ポガチャル選手は安定した走りをみせジャージを守り続けます。第17ステージ 大会最難関のピレネー決戦ではラスト8km地点からアタックを仕掛け、ライバルのヨナス・ヴィンゲゴー選手(ユンボ・ヴィスマ)とリチャル・カラパス選手(イネオス・グレナディアーズ)を大きく引き離して勝利を決定的なものとしました。
また、UEAチーム・エミレーツではタデイ・ポガチャル選手以外にも活躍が期待される選手も多く、レースでの勝利にこだわるコルナゴらしい布陣となっています。ジョアン・アルメイダ選手、マルク・ソレル選手、ジョージ・ベネット選手がチームに加わりましたが、どの選手にもステージ優勝を狙える実力があります。
ジョアン・アルメイダ選手はジロ・デ・イタリア2020で2週間に渡りマリア・ローザを守った活躍が印象的で、2022シーズンでもUAEツアー総合5位など好成績を残しています。昨年はツールでの落車による骨折により撤退を余儀なくされたマルク・ソレル選手はリベンジを目指し、ライバルチームで活躍していたジョージ・ベネット選手がサポートに加わるなど、大幅な戦力強化が図られました。タデイ・ポガチャル選手の3連覇を支えることはもちろん、チームメンバーそれぞれの活躍もUAEチーム・エミレーツの見どころです。
2022年のツールも難関ステージが続く、面白いレース展開になりそうです。勝利を阻む多くのライバルと戦いながら、23歳の若さでツール3連覇に挑むタデイ・ポガチャル選手の活躍をご期待ください。