ツール・ド・フランス2024でタデイ・ポガチャル(UAEチーム・エミレーツ)が、個人総合優勝を獲得しました!ポガチャルは今年のジロ・デ・イタリアでも個人総合優勝を果たしており、ダブルツールを達成しました。

同じ年にジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの両方を制する「ダブルツール」は、史上8人目、1998年にマルコ・パンターニが達成して以来、実に26年ぶりの快挙です。

そして、ポガチャルのマイヨジョーヌ獲得は3年ぶり、3度目となります。最大のライバル ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク)とは、6分17秒差で勝利。BIG 3 としてツール初参加ながら頭角を表し、3位に入賞したレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)とは9分18秒差をつけての個人総合優勝となりました。

今年はステージ終盤にアルプス山頂決戦2連戦、最終ステージにはタイムトライアルが設定されており、最後まで展開の分からない厳しいレースでしたが、着実にタイム差を作り出していったUAEチーム・エミレーツのチームプレイによる勝利と言えるでしょう。

ここで今大会のハイライトを振り返ってみます。

第111回大会を迎えたツール・ド・フランス2024は、史上初めてイタリアでのスタートを迎えました。スタート地点となったフィレンツェではチームプレゼンテーションが行われ、ポガチャルはコルナゴのC68 Road をベースに作られたツール・ド・フランス記念モデル「フルール・ド・リス」に乗って登場。この時に使用した「フルール・ド・リス No. 001/111」は、サザビーズでオークションに出品され、45,600ポンド(日本円で約935万円)で落札されました。

ポガチャルは第1ステージからゴール前スプリントに加わるアクティブなレース展開を行い、第2ステージでは早くもマイヨジョーヌを獲得しました。翌3日目には、マイヨジョーヌカラーのV4Rsが登場し、チームメンバーもマイヨジョーヌカラーのヘルメットで揃え、プロトンでの存在感を放っていました。

その後、いったんはマイヨジョーヌを手放すも、 第4ステージでは標高2,642mの超級山岳ガリビエ峠を駆け上がり、登坂アタックで後続との差を広げて再び勝利を挙げました。頂上までの距離3kmの時点で、UAEチーム・エミレーツは先頭集団にフアン・アユソとジョアン・アルメイダを残していました。二人のサポートからポガチャルがアタックを仕掛けると、山頂のボーナスタイムを獲得。そのままハイスピードでダウンヒルを駆け抜けて総合タイム差でエヴェネプールに45秒、ヴィンゲゴーに50秒をつけてゴールしました。ツール通算12勝目の勝ち星です。

第9ステージ「トロワ〜トロワ」では、グラベルロードも登場

2週目には、厳しい展開を迎える場面も。今大会2度目の山岳ステージ、211kmに及ぶ長丁場となった第11ステージでは、フィニッシュまで31kmの地点でアタックをかけたポガチャルにヴィンゲゴーが追いつき、最終スプリントまでもつれ込んだ二人の戦いはヴィンゲゴーに軍配が上がりました。

その後は2位のエヴェネプールとのタイム差1分06秒、3位のヴィンゲゴーとは1分14秒差の、こう着状態が続いたまま週末のピレネー2連戦へと突入していきました。超級山岳トゥールマレー(距離19km/平均7.4%)を含む超級山岳プラ・ダデ(距離10.6km/平均7.9%)で争われた第14ステージでは、UAEチーム・エミレーツがプロトンをコントロール、レース終盤、アダム・イェーツの前待ち作戦によってポガチャルは残り4kmで単独先頭に立ち、ライバルたちを引き離してフィニッシュを決めました。フィニッシュ地点では雄叫びを上げながらの圧巻の勝利を見せました。

続く第15ステージは、1級山岳4つを超えた先に、超級山岳の山頂フィニッシュとなる197.7kmに及ぶハードなステージでした。ヴィスマ・リースアバイクがプロトンをコントロールし、最終山岳である超級プラトー・ド・ベイユ(距離15.8km/平均7.9%)に突入すると、ヴィンゲゴーがアタックを仕掛けました。総合を争う選手の中でポガチャルだけが素早く反応し、二人で逃げを次々と捉えると今度は逆に残り5.4kmの地点でポガチャルが加速。ヴィンゲゴーとの距離を離して、ピレネー2連勝を挙げました。2週目を終えた時点で個人総合成績は、2位 ヴィンゲゴーとの差が3分09秒、3位 エヴェネプールとの差を5分19秒まで広がりました。

ステージ優勝後のインタビューではポガチャル自身も「僕もピレネーが好きだし、ピレネーも僕のことが好きだと思うよ」と述べているように、ポガチャルと相性の良いステージでマイヨジョーヌを大きく引き寄せる結果となりました。

第3週を迎えてもポガチャルは手を緩めることなく、秒単位でライバルとの差を広げていきました。そして迎えたツール19日目のクイーンステージで、勝負は決定的となります。

アルプス2連戦となった初日、1級山岳イゾラ2000で山頂フィニッシュを迎えるステージ終盤でポガチャルがアタックを仕掛けました。このアタックにヴィンゲゴーとエヴェネプールは食らいつけず、ポガチャルが一気に差を広げると、逃げ集団も次々と捕まえ、今大会区間4勝目をあげました。このステージでポガチャルは、ヴィンゲゴー、エヴェネプールとの差を1分42秒つけ、ダブルツールまであと一歩というところまで近づきました。

続く第20ステージでも、ヴィンゲゴーをしっかりとマークしたポガチャルはゴール前スプリントを勝利し、アルプス2連勝、区間5勝目を手に入れました。

そして、パリオリンピックの影響で史上初めてパリ以外でのフィナーレを迎えた第21ステージ。モナコ〜ニース 33.7kmのタイムトライアルレースで今大会を締め括りました。最終ステージでも、ポガチャルは圧巻の走りを見せます。注目された総合トップ3の走りは、総合3位のエヴェネプールからスタート。それまでの計測タイムを次々と更新していきました。それを追う総合2位のヴィンゲゴーはさらにタイムを更新していきましたが、最終走者 ポガチャルが、ヴィンゲゴーのタイムをさらに次々と塗り替え、圧倒的なタイム差でステージを獲得しました。

最終ストレートでは、ガッツポーズをする余裕を見せながら完璧な走りでトップタイムを1分3秒更新。区間6勝とともにマイヨジョーヌ獲得を決定させました。

これにより、2021年以来3年ぶり、自身3度目のツール個人総合優勝だけでなく、ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスを同じ年に制覇する「グランツール」を成し遂げました。史上8人目、26年ぶりとなる快挙です。

表彰式ではマイヨジョーヌカラーに仕立てたV4Rsが登場。UAEチーム・エミレーツはチーム総合成績でも1位を獲得。特別カラーに仕立てたチームジャージを着たメンバーと優勝を祝いました。

圧倒的な強さで王者復活を果たしたポガチャルは、多くの興奮と感動でファンを楽しませてくれました。パリオリンピックへの出場も決まっており、今後の活躍も目が離せません。

COLNAGO JAPANにも、多くのファンの皆さまからの声援をいただき、誠にありがとうございました。

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